握力と身体機能について
前回記事の「サルコペニアと身体機能について」では
サルコペニアの診断基準と検査内容について
まとめてみました
サルコペニアとは「65歳以上の高齢者にみられる筋肉量の減少と筋力もしくは身体機能の低下」のことです
そのサルコぺニアの診断基準の中で
”握力の測定”が
含まれているとお伝えしました
今回はその「握力」について
●握力ってそもそもなに?
●低下するとどうなるのか?
●握力をきたえるには?
の内容を一緒にみていけたらと思います
そして
最近筋力の低下が気になる方や
高齢のご家族がいる方や
お仕事で高齢者の方と関わる方に
日常の中で少しでもお役に立てればと
思っております
”サルコペニア”について興味のある方は
下の記事も併せて読んでもらえたらと
思います
【目次】
握力ってなに?
握力についてはWikipediaでは
以下のように言われています
<握力とは>
引用元:Wikipedia
現在では、主に以下の4つに分類される
・クラッシュ力(ものを握りつぶす力)
・ピンチ力(物をつまむ力)
・ホールド力(握ったものを保持する力)
・ものを開く力
手の中でものを握ったり
指先でつまんだりする力のことだね
握る動作を図であらわすと
このようになります
このように力をこめる時にはグーを作ってにぎりこみます
その時の様子を全身から見ていくと
このようになります
手だけでなく腕全体から
さらには
からだ全体に力が入っているのが
分かります
・握力は、総合的な筋力の指標とされ、肘屈曲筋力、膝伸展筋力、体幹伸展筋力、体幹屈曲筋力との関連が報告されている。
引用元:13.身体的虚弱(高齢者)理学療法診療ガイドライン
・握力が強いほど歩行速度が速く、応用歩行能力が高い。また歩行持久力にも優れていることが示唆された。
引用元:地域在住女性高齢者の握力と身体機能との関係
・握力と有意な相関が認められたのは足把持力、大腿四頭筋筋力、片足立ち保持時間、最大歩行速度、TUG、10m障害物歩行時間、6MWTの7項目であった。なかでも、下肢筋力である足把持力と大腿四頭筋筋力との相関が高かった。
引用元:地域在住女性高齢者の握力と身体機能との関係
・最大の握力値を発揮する際には力みが生じ、腹筋・背筋の緊張も高まる。
つまり
握力の強さは
全身の筋力の目安
ともいえます
では
次では
”握力の低下”が及ぼす影響について
みていきたいと思います
握力が低下するとどうなるの?
握力が低下すると
どうなるでしょうか?
↓日常生活で考えられることは…
●買い物で重い荷物を持ち続けられない
●荷物の箱が持ち上げられない
●瓶やペットボトルのふたが開かない
●ひねるタイプの蛇口が開かない
●タオルを力いっぱいしぼりきれない
●物を落としてしまう
●食事で食器を持ち上げたり、箸がうまく使えない
●ペンで字を書こうとしても筆圧が弱くなる
などが握力の低下のレベルに応じて難しくなってきます
上の図では”握力の進行度とそのサイン”
についてまとめています
もし
日常でそのような様子がみられたら
握力低下の度合いの目安にもなります
このように
握力が低下すると
その度合いに応じて
日常で不便さがでやすくなります
また
握力の低下は…
「転倒、骨折、虚弱、死亡リスクと強く関連します」
といわれています
握力が低下すると…
●日常生活での生活行為に不便さがでてくる
●転びやすくなり、骨折にもなりやすくなる
●体が弱く病気になりやすくなり、亡くなりやすくなる
なります
握力をきたえるには?
[クラッシュ力(ものを握りつぶす力)をトレーニング]
①グーパー運動
方法:
肩の高さに手を挙げ肘をまっすぐ前に伸ばし5秒ほどかけて手のひらを開く
その後5秒かけて手のひらを閉じる。1日30回程度から始め、少しずつ負荷を増やす。
※お風呂に入ったときに手のひらを温めつつ水圧を利用して負荷を増すこと
も効果的。
②ハンドグリップ(ない場合にはゴムボールでもかまいません)
方法:
先ほどのグーパー運動と基本的には同じです
器具を使う分負荷がかかるので効率よく鍛えられます
③雑巾絞り
方法:
腕の位置を変えずに、雑巾を絞るように片方の手を時計回りにする
もう片方の手を反時計回りに回す
1、2、3のカウントで絞り、元に戻す
※タオルは濡らす必要はありません
④ペットボトルダンベル
方法:
ペットボトルを持ち、両腕を前へ伸ばす
腕の位置を変えずに、手首を曲げ、手を上へ向ける
手首を曲げ、手を下に向ける。繰り返す
※水の量で負荷量の調整が可能です
同時に両手でやるのも効率的です
※ほかにも、腕をわきにつけた状態から肘のみを曲げる・伸ばす運動や
肘を伸ばした状態で腕を前方や側方に肩の高さまで上げる・下ろす運動
もあります
[ピンチ力(物をつまむ力)をトレーニング]
①洗濯ばさみつまむ運動
方法:
小さいものから試し、余裕が出てきたら大きいものを使う
親指と人差し指だけでなく、中指・薬指・小指との組み合わせも行う
※この時しっかりと洗濯バサミを開ききるように意識する
[ホールド力(握ったものを保持する力)をトレーニング]
方法:
これは今までやったものを”保つこと”で鍛えられます
※力を入れるぬくを短時間で行うのではなく、ぎゅっと力を入れている時間
を例えば5秒間キープして行います
おわりに
今回は「握力」について
どういうものなのか
低下するとどうなるのか
握力を保ったり鍛えるためには
についてみていきました
握力の及ぼす影響についてふりかえりと
握力のトレーニングが役に立てたらと思います
今回のトレーニングは全てをやる必要はありません
必要だと思う部分のトレーニングの中で
取り組みやすいものを少ない回数から
取り入れてみるのはどうでしょうか?
また
握力を補うための方法として
握りやすい食器や食器がずれないように滑り止めシート
ペンやスプーンなどを太くするグリップや手に固定する自助具
など福祉用具・自助具で工夫することで改善できることもあります
お一人お一人状態は様々ですので
より詳細については、リハビリ職の人や福祉業者の人や
医療・介護の専門家の人に相談してみてはいかがでしょうか(^-^)
ここまで長々と読んでくださりありがとうございましたm(__)m
【参考・引用文献】
●握力が低下したときのリハビリ方法とは?.御所南リハビリテーションクリニック
●【健康】握力UPで認知症リスクが低減する!効果的な握力UP運動.
リハビリステーション.LETS倶楽部
●スタッフブログ 握力.ジョイリハ
●運動で健康「握力と腕力を強くしたい」.NHK