【認知症クイズ⑩】実行機能とは?



前回は認知症の【中核症状】の中の『複雑性注意』について

クイズ形式で紹介しました


図:認知症の中核症状





今回は2つ目の『実行機能』について



クイズ形式で考えながら学んでいければ



と思います



クイズ形式で新しいことを学び

脳の活性化と知識を

深めやすくなると思います(^-^)


「認知症」という病気がより


理解しやすくなれる一助になれれば


と思います



今回の記事の目的について

認知症の【中核症状】の中の『実行機能』についてクイズ形式で学習する









『実行機能』に関するクイズ:5問



図:実行機能とは



次の問題は『実行機能』に関する問題です

設問の選択肢の中から適切なものを選んでみて下さい





≪問題≫

【問題1】
「アルツハイマー病」と「脳血管性認知症」ではどちらが『実行機能障害』がでやすいでしょうか?


①アルツハイマー病
②脳血管性認知症
③どちらも同じ


【問題2】
これらの活動の中で『実行機能障害』の影響をうけやすいのはどの活動でしょう?


①旅行の計画を立てる
②入浴をする
③着替えをする


【問題3】
これらの活動の中で『実行機能障害』の影響をうけにくいのはどの活動でしょう?


①買い物
②服薬管理
③トイレ動作


【問題4】
料理の時に『実行機能障害』の影響では起こりにくい状態はどれでしょう?


①料理の手順の一部を抜かしてしまう
②料理の手順を全て忘れてしまう
③料理の手順の順番を間違える


【問題5】
料理の時に『実行機能障害』がある場合に適切でない対応はどれでしょう?

①手順を工程ごとにその都度1つずつ区切って説明をする
②手順の説明は具体的に分かりやすい表現をする
③手順の説明は一度に沢山の情報を伝える



≪解答≫

【問題1】
「アルツハイマー病」と「脳血管性認知症」ではどちらが『実行機能障害』がでやすいでしょうか?

②脳血管性認知症

脳血管性認知症では、覚えた知恵をうまく使いこなせず、頭の切り替えができず、頭の回転が遅いため、アルツハイマー型と比較して、初期から実行機能障害がでやすいといわれています。

【問題2】
これらの活動の中で『実行機能障害』の影響をうけやすいのはどの活動でしょう?

①旅行の計画を立てる

実行機能が障害されると手順がいくつも必要な仕事をこなすことが困難になります。①は、②や③に比べて手順が多く複雑な活動になります。

【問題3】
これらの活動の中で『実行機能障害』の影響をうけにくいのはどの活動でしょう?

③トイレ動作

実行機能が障害されると手順がいくつも必要な仕事をこなすことが困難になります。③は、①や②に比べて手順が少なく単純な活動になります。

【問題4】
料理の時に『実行機能障害』の影響では起こりにくい状態はどれでしょう?

②料理の手順を全て忘れてしまう

実行機能障害があると、手順が分からなくなり、手順の一部を抜かしたり、順番を間違えたりします。
手順を忘れてしまうのは、記憶機能の低下によるものになります。

【問題5】
料理の時に『実行機能障害』がある場合に適切でない対応はどれでしょう?

③手順の説明は一度に沢山の情報を伝える

料理をするときに、野菜を洗うことや包丁で切ることなど1つずつの作業はできるが、その野菜をどのようにするのか、あるいはそれを使って何を作るのかという手順が分からなくなります。
その為、①や②のような工程ごとに説明を区切ってあげたり、分かりやすく説明することは適切です。
③のような一度に沢山の情報を伝えてしまうと、手順が分からなくなり混乱してしまいやすくなります。









『実行機能』とは



実行機能とは
順序正しく、また実際的なやり方で、問題を解決しながら計画を実行する力。

引用元:前頭葉機能不全その先の戦略.Rusk通院プログラムと神経心理ピラミッド





図:実行機能とは



『実行機能』の内容は上の図が含まれます



認知症の人が実行機能障害でどのような困難を


抱えるかについていくつか例を挙げておきます



●得意だった料理をするのが難しくなる


●お薬の管理をきちんと行うことが難しくなる


●物事の判断をすることが以前に比べて難しくなる


●手順の多い作業を行うことが以前に比べて難しくなる




図:料理で例えると



料理では



●冷蔵庫の中身を確認しながら献立を考えます:整理する/優先する/計画


●足りないものを買い出しに行きます:計画/問題解決


●手順通りに調理をします:整理する/優先する/問題解決


●出来上がった料理を自分でモニタリングしてフィードバックします:自己監視





このように料理には


『実行機能』が必要な活動になっています


その機能が低下すると


うまく料理の活動を1人でこなすことが難しくなってきます







おわりに




今回は認知症の【中核症状】の1つ『実行機能』について

クイズ形式でまとめてみました




次回は他の【中核症状】について

クイズ形式でまとめていきたいと思いますので


宜しければお付き合いください



今回も「認知症クイズ」に

お付き合いくださりありがとうございました(^-^)






【参考・引用文献】

●認知症ケア標準テキスト改訂第3版認知症ケアの基礎.一般社団日本認知症ケア学会編
●なぜ認知症のある人とうまくかかわれないのか?.石原哲郎著.中央法規
●認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント.山口晴保編.協同医書出版
●前頭葉機能不全その先の戦略.Rusk通院プログラムと神経心理ピラミッド.大橋正洋著.医学書院