【認知症の概要】認知症とはなんだろう
認知症高齢者の現状
2007年から超高齢社会となった日本ですが
内閣府による令和3年高齢社会白書(全体版)の推計によれば
2020年の発表では3619万人で高齢者人口率は28.8%まで増えています
現在の高齢者人口率は約3人に1人が65歳以上です
ではその中で
認知症の人はどのくらいいるのでしょうか?
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の速報値によれば
2025年の認知症の人口における有病率は19〜20.6%、約700万人と予測されています
現在は65歳以上の約6人に1人が認知症と診断されています
今回の記事の目的
このような疑問はありませんか?
・認知症とは簡単にいうとどういうことなの?
・認知機能とはなに?
・認知症と加齢とはなにが違うの?
・認知症は病名なの?
今回この記事を読んでくださっている方の中で
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
もし1つでも当てはまる方がいらっしゃいましたら
この先を読み進めてみてください
この記事を読み終えた時にそれらの疑問が解決できるようにしていきたいと思います
認知症とは○○です
認知症とは簡単に言うと
になります
日本精神神経学会の認知症の定義によると以下になります
認知症は一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態を指し、それが意識障害がないときにみられる
引用元:認知症とは?第1章認知症診療の基本.認知症ハンドブック第2版
それぞれを確認していきたいと思います
認知症は後天的な脳の障害によるものなので
生まれつきのものではありません
持続的に低下するので
徐々に進行していきます
日常生活や社会生活に支障を来すので
ひとり暮らしや仕事が難しくなります
認知症の方は単に物忘れがあると言うのではなく、もともと獲得していた能力が徐々に失われていく経験をされています
そのため、認知症を抱えた人は不安や不快感や苦悩な感情などを抱えて生活をされているのです
認知機能とは○○です
では具体的に脳の図を見ながら簡単に役割を説明しますね
脳は担当している機能が部位によって違います
認知症の種類によって障害されている脳の部位が異なるので
上の画像に照らし合わせてそれぞれどの部位が障害されているのかを当てはめてみると分かりやすいです
▶︎アルツハイマー型認知症の場合
アルツハイマー型認知症は最初に側頭葉(主に海馬)を中心とする大脳皮質の萎縮から始まります。そのため、記憶障害が主要な症状になります
▶︎脳血管性認知症の場合
脳血管性認知症は血管障害部位に対応した機能のみが低下するので保たれている部位と障害されている部位が混在した「まだら認知症」になります
▶︎レビー小体型認知症の場合
レビー小体型認知症は視覚を司る後頭葉の血流低下があります。そのため、幻視の症状が気づかれやすい症状の1つとして挙げられます
認知症と加齢とは○○が違います
・もの忘れがあるが、買い物では必要なものを必要なだけ買える
・ひとりで電車やバスに乗って、旅行できる
・もの忘れをするが、自覚があり、メモなどで対応できる
・買ったことを忘れたりするが金銭管理ができる
この状態は認知症でしょうか?
正解は… ↓↓
-
この状態は認知症でしょうか?
-
これらの状態では認知症とはいえません
これらの場合は加齢による物忘れはありますが、自分で社会生活や日常生活を自分で対処ができているからです
では
認知症を疑う状態とはどんな状態なのでしょうか?
ここで「認知症初期症状11項目質問票」をご紹介します↓
✅同じことを何回も話したり、尋ねたりする
✅出来事の前後関係がわからなくなる
✅服装など身の回りに無頓着になった
✅水道栓やドアを閉め忘れたり、後かたづけがきちんとできなくなった
✅同時に2つの作業を行うと、1つを忘れる
✅薬を管理してきちんと内服することができなくなった
✅以前はてきぱきできた家事や作業に手間取るようになった
✅計画を立てられなくなった
✅複雑な話を理解できない
✅興味が薄れ、意欲がなくなり、趣味活動などをやめてしまった
✅前よりも怒りっぽくなったり、疑い深くなった
上の11項目の中で3項目以上当てはまれば認知症が疑われると言われています
(引用図書:楽になる認知症ケアのコツ)
また各都道府県の自治体でも「認知症の気づきチェックリスト」がありますので、詳しくはそちらでも検索してみてください
認知症は病名ではなく○○です
では認知症の原因疾患を表でまとめたものを紹介します
画像2枚のスライドショーになっていますので
スライドしてご確認ください
このように、認知症の原因疾患はたくさんあります
その中で、高齢者の認知症では神経変性疾患と脳血管障害によるものが多いです
脳そのものが障害される疾患ばかりではなく、脳以外の身体疾患によっても認知症が引き起こさる場合があります
また、基本的には認知症は進行性の脳の障害ですが、その中には「治る可能性のある認知症」もありますので、それを見落とさないことが重要です
▶︎治る可能性のある認知症
・正常圧水頭症
・慢性硬膜下血腫
・甲状腺機能低下症
・ビタミンB12欠乏症
・薬の影響による認知機能低下 など
認知症患者の10〜30%に治療可能な認知症が含まれていると言われてます
最も多いものは甲状腺機能低下症と薬剤性と言われています
これらは早期に発見し治療すれば、認知症が改善する可能性があります
今回の内容のまとめ
【引用参考文献・資料】
・令和3年高齢社会白書(全体版).内閣府
・認知症施策の総合的な推進について.厚生労働省
・認知症ハンドブック第2版.医学書院
・楽になる認知症ケアのコツ 本人も家族も揃って笑顔に.技術評論社
・オールカラー認知症ケアガイドブック.照林社
・認知症ケア標準テキスト改訂3版認知症ケアの基礎.(株)ワールドプランニング
・病気がみえるvol7脳・神経第2版.MEDIC MEDEA