【認知症クイズ⑫】言語とは?
前回は認知症の【中核症状】の中の『記憶』について
クイズ形式で紹介しました
今回は4つ目の『言語』について
クイズ形式で考えながら学んでいければ
と思います
クイズ形式で新しいことを学び
脳の活性化と知識を
深めやすくなると思います(^-^)
「認知症」という病気がより
理解しやすくなれる一助になれれば
と思います
今回の記事の目的について
認知症の【中核症状】の中の『言語』についてクイズ形式で学習する
『言語障害』に関するクイズ:5問
言語能力には上記の4つがあります
今回の記事では、
言語能力のうち主に「話す」「聞く」について
焦点を当ててみていきたいと思います
認知症により脳が障害されてくると、
以下の主な3つの言語障害がみられやすくなります
次の問題は『言語の障害』に関する問題です
設問の選択肢の中から適切なものを選んでみて下さい
≪問題≫
【問題1】
Aさんは人や物の名前が思い出しにくくなり「あれ、それ」という代名詞を使うことが増えてきました。また、話し方が前よりも回りくどくなってきました。これは次のうちどの障害でしょう?
①失語症
②発語失行
③構音障害
【問題2】
Bさんは文字を読んだり、耳で相手の話を聞いて理解することは問題がありませんが、ろれつやうまく回らずに話すことがしにくくなっています。
これは次のうちどの障害でしょう?
①失語症
②発語失行
③構音障害
【問題3】
Cさんは会話の時に、話すスピードがゆっくりで全体に平坦な話し方です。又、話す時の様子は、たどたどしくとても話しづらそうです。
これは次のうちどの障害でしょう?
①失語症
②発語失行
③構音障害
【問題4】
認知症のある人とのコミュニケーションをとる時の方法として適切なものはどれでしょうか?
①叱咤・命令口調で話をする
②遠回しな表現や漠然とした表現をする
③ボディーランゲージを活用する(指さしやジェスチャーなど)
【問題5】
高次脳機能障害による「失語症」と認知症による「失語症」には違いがあります。次のうち認知症による「失語症」で適切なものはどれでしょうか?
①認知症による「失語症」は、他の認知機能の低下が認められ、かつ症状は進行性である
②認知症による「失語症」は、他の認知機能の低下が認められるが、症状は非進行性である
③認知症による「失語症」は、他の認知機能の低下は認めらないが、症状は進行性である
④認知症による「失語症」は、他の認知機能の低下は認められず、かつ症状も非進行性である
≪解答≫
-
【問題1】
Aさんは人や物の名前が思い出しにくくなり「あれ、それ」という代名詞を使うことが増えてきました。また、話し方が前よりも回りくどくなってきました。これは次のうちどの障害でしょう? -
①失語症
失語症では、言語障害が軽度では物や人の名前がでてきにくくなり、そのため「あれ、それ」と代名詞を使うことが増えてきます。また、言い方も回りくどくなります。
これはアルツハイマー型認知症では多く見られます。
-
【問題2】
Bさんは文字を読んだり、耳で相手の話を聞いて理解することは問題がありませんが、ろれつやうまく回らずに話すことがしにくくなっています。
これは次のうちどの障害でしょう? -
③構音障害
「構音障害」の症状としては、「声が出ない」「声はでるが、はっきりと発音できない」「特定の音(特にタ行・ラ行またはバ行・パ行)が出ない」「舌がもつれる」「ろれつが回らない」などがあります。
これは、声を出したり言葉を話すのに必要な身体の一部がうまく動かないために起こります。
-
【問題3】
Cさんは会話の時に、話すスピードがゆっくりで全体に平坦な話し方です。又、話す時の様子は、たどたどしくとても話しづらそうです。
これは次のうちどの障害でしょう? -
②発語失行
【問題3】の「構音障害」と同様にうまく声を発することができないという類似しているところもあります。
しかし、「発語失行」の場合はとぎれとぎれのゆっくりとした話し方と一貫性のない音の歪みがあります。その為、設問のような状態になります。
-
【問題4】
認知症のある人とのコミュニケーションをとる時の方法として適切なものはどれでしょうか? -
③ボディーランゲージを活用する(指さしやジェスチャーなど)
認知症のある人とコミュニケーションをとる時には、言葉だけでなく「非言語的コミュニケーション」も活用すると相手に安心感を与えることができるし、かつ理解しやすくなります。
①の叱咤・命令口調ではなく、誘いかけるような話し方をするようにします。
②の表現は避けて、具体的、直接的な言い方をするといいようです。
-
【問題5】
高次脳機能障害による「失語症」と認知症による「失語症」には違いがあります。次のうち認知症による「失語症」で適切なものはどれでしょうか? -
①認知症による「失語症」は、他の認知機能の低下が認められ、かつ症状は進行性である
「高次脳機能障害」とは脳損傷に起因する認知障害全般を指します。この場合には、脳損傷の時期が明らかであり、障害そのものは進行性の障害ではないです。
一方、多くのタイプの認知症(アルツハイマー型認知症など)は,発症時期が特定しにくく,認知機能も含めて症状が進行していく変性疾患であることから,高次脳機能障害とは区別して考えられています。
『言語』とは
言語能力とは
●話す
●話を聞いて理解する(聞く)
●文字を書く
●文字を理解する(読む)
の4つがあります
では認知症など脳の機能低下があるとどうなるのでしょうか?
言語障害とは
引用元:高次脳機能障害の作業療法.三輪書店
ことばを主たる手段として行われるコミュニケーションに支障をきたす状態です
認知症の人が言語障害でどのような困難を
抱えるかについていくつか例を挙げておきます
●固有名詞などの言葉が思い浮かばずに「あれ」「これ」などの言葉をよく使うようになる
●相手の話が聞き取りにくくなる
●話しをするのがしにくくなる
などのような様子が見られるようになります
では次に
各障害についてみていきます
「失語症」は、
初期は言葉を思い出しにくくなり、「あれ」「これ」という事が増えてきます
進行すると、
相手の話す内容を理解することが難しくなります
そして、
最重度の段階では有意味な発話のない状態になります
「構音障害」は、
発声発語器官の麻痺などによって生じる
「はっきりと話すこと」の障害です
ろれつが回らずに聞き取りにくい発声になります
「発語失行」は、
発声を間違ったり、
抑揚のないとつとつとした話し方になったりします
失語症の方の中には、この「発語失行」を合併する場合も多いようです
認知症とコミュニケーションをとる際には
●非言語的コミュニケーションを活用する
(笑顔、優しい口調、ボディランゲージなど)
●叱咤・命令口調ではなく誘いかけるようにする
●指示は相手の理解に合わせて、区切って行う
●具体的、直接的な言い方をする
●理解が難しい場合には、言い方を変えてみる
などを実際のコミュニケーションの取り方の際に意識してみてはいかがですか(^-^)
おわりに
今回は認知症の【中核症状】の1つ『言語』について
クイズ形式でまとめてみました
次回は他の【中核症状】について
クイズ形式でまとめていきたいと思いますので
宜しければお付き合いください
今回も「認知症クイズ」に
お付き合いくださりありがとうございました(^-^)
【参考・引用文献】
●認知症ケア標準テキスト改訂第3版認知症ケアの基礎.一般社団日本認知症ケア学会編
●なぜ認知症のある人とうまくかかわれないのか?.石原哲郎著.中央法規
●高次脳機能障害と作業療法.鎌倉・本多共著.三輪書店
●認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント.山口晴保編.協同医書出版
●認知症の気づき.気づきのヒント・受診の流れ.認知症カフェ資材②
●言語能力とは.認知症ねっと
●アルツハイマー型認知症の言語症状の多様性.松田実.高次脳機能研究 第 35 巻第 3 号
●京都市高次脳機能障害者支援センター4 認知症とはどう違うの?