【健康】高齢者と尿失禁との関係は?

皆さまの身の回りや職場での高齢者の方々で”尿失禁”のある方はどの位いらっしゃいますか?



又、どうせ「年のせいだから」と言われるからと中々恥ずかしくてその事を言い出せない方はいらっしゃいませんか?



以下は、少し古い情報ではありますがこんなデータもありました。



高齢者における尿失禁の頻度は極めて高く、在宅高齢者の約 10%、病院や介護施設 などに入所している高齢者では 50%以上に尿失禁がみられる。我が国では、60 歳以 上の高齢者の 50%以上に尿失禁があると報告され、A その 実数は 300 万人とも 400 万人ともいわれている。大島らも、愛知県内にある養護老人ホーム、特別養護老人ホ ーム、老人保健施設において尿失禁のためおむつを装着している高齢者の頻度を調べ、 それぞれ 8.5%、54.5%58.6%と報告した。

引用元:高齢者尿失禁ガイドライン.H12年


60歳以上の高齢者の2人に1人が尿失禁だと報告されているのです。



これはもう多くの高齢者の共通の悩みだと言えますよね。



尿失禁は直接的に命に関わるものではないけれど、「トイレが気になるから〇〇出来ない」とその事が気になって精神的に苦痛があったり日常生活の活動に制限をかけてしまっている場合も多いのではないでしょうか。



又、周囲の方々もその事で一緒に悩んでいたり、介護負担が大きくなってはいないでしょうか。




今回は、そんな高齢者と尿失禁の関係について考えていきたいと思います。




【目次】

  1. 尿失禁とは
  2. 高齢者の排尿の特徴
  3. 尿失禁の種類について
  4. 尿失禁の診断について
  5. 尿失禁の対応法について
  6. まとめ




尿失禁とは

尿失禁とは自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと

引用元:尿失禁.健康長寿ネット



なぜおしっこが漏れてしまうのでしょうか?



それらの原因となる排尿機能の障害には、大きく分けると「蓄尿障害」「排出障害」のふたつがあります。

引用元: 尿失禁の原因、症状と分類.排泄ケアナビ



おしっこを膀胱に溜めておくのが難しいのが「畜尿障害」で、おしっこを出す通路がうまく通らないのが「排出障害」です。
前者は女性に、後者は男性に多いです





高齢者の排尿の特徴

健常者と比べて高齢者の排尿の特徴は、1日の総尿量は減り、総尿回数が増え、1回あたりの尿量が減少していく傾向があります。また、昼にくらべて夜の尿量が増えるのも高齢者にみられる一般的な傾向です。

引用元: 高齢者の排尿の基本.排泄ケアナビ




高齢者における特徴因子として、(イ)脳血管障害、脳・脊髄神経疾患、糖尿病など神経因性膀胱に関与する疾患の罹患率が高いこと、(ロ)加齢による下部尿路機能の変化が起こること、(ハ)前立腺肥大症の罹患率が高いこと、(ニ)夜間多尿傾向があること、(ホ)痴呆の存在、(ヘ)身体運動障害(ADL)低下の存在、(ト)下部尿路に作用し得る薬剤の内服、などがあげられ、特に最も大きな特徴としては、これらの複数の因子が尿失禁に関与することが多いことがあげられ、これが高齢者における尿失禁の診断・治療を困難にしている。

引用元:高齢者障害の要因.排尿管理マニュアル




高齢者の特徴をまとめると

●加齢による排泄機能を司る器官に器質的変化が起こるということ

●夜間にトイレの回数が多いこと

●病気により排泄を司る神経がうまくコントロールしにくくなっているということ

●日常生活の活動性が低下して、おしっこを我慢する筋肉が低下していたり、動作に時間がかかるということ

●排泄に影響するお薬を飲んでいるということ

●前立腺肥大症になる人が多いこと

●認知症がある場合があるということ



回答者
回答者

高齢になりますと、上の表のように色んな要因が重なりまた原因が重複している場合が多く尿失禁の診断や治療が複雑化しているんですよ




次は、尿失禁の種類ごとにどんな症状なのかを見ていきたいと思います。




尿失禁の種類について

●腹圧性尿失禁
現象:重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう。
原因:骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産を契機に出現したりします。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。

●切迫性尿失禁
現象: 急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう。
原因: 脳からの指令で排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などによりそのコントロールがうまくいかなくなった時。他にも、 男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も原因となります。

● 溢流性尿失禁
現象:自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまう。
原因:尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあります。代表的な疾患に、前立腺肥大症があります。他にも、直腸癌や子宮癌の手術後などに膀胱周囲の神経の機能が低下してしまっている場合にもみられます。

●機能性尿失禁
現象:例としては、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できないなどです。
原因:排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる。



また、先程の

おしっこを膀胱に溜めておくのが難しいのが「畜尿障害」で、おしっこを出す通路がうまく通らないのが「排出障害」です。



で区分けすると、


「畜尿障害」腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁になります。

「排出障害」溢流性尿失禁になります。

また、 機能性尿失禁「環境障害」とも言われています。





尿失禁の診断について

回答者
回答者

的確に治療を行うためには、尿失禁が切迫性、腹圧性、反射性、溢流性、機能性の いずれであるか、あるいは複数の要素が絡んでいるか見極める必要があります。下の図はその為の手順を示したものです

ですが、基本的な評価により一過性あるいは可逆性と考えられる場合にはすぐに治療を開始します


図:尿失禁診断アルゴリズム

 ※ 残尿測定:排尿後、下腹部からの超音波検査ないしカテーテルを用いて、残尿を測定する
 ※ストレステスト:咳をさせて、尿漏れを直接確認する




尿失禁の対応法について

回答者
回答者

対応法としては、「行動療法」・「薬物療法」・「手術療法」・「環境整備」があります
尿失禁の種類によって対応方法は異なります


腹圧性尿失禁

”排泄介助”(時間ごとや対象者のパターンごとに排尿を誘導する)や”骨盤底筋体操”を行うトレーニングがまず推奨されています。
 重症者には、手術療法で尿道を支える人工的なテープを入れる手術が有効で徐々に行われるようになっています。




切迫性尿失禁

この種類にも、”排泄介助”(時間ごとや対象者のパターンごとに排尿を誘導する)や”骨盤底筋体操”を行うトレーニングが有効です。
また、 このタイプには”抗コリン剤”と呼ばれる薬が有効です。しかし、副作用として、口の乾燥、便秘などがあげられます。また、尿の出方が悪くなることがあります。




溢流性尿失禁

尿がうまく出せない原因の治療を検討します。男性であれば前立腺肥大の治療をすると改善することがあります。場合によっては尿道から膀胱に管を入れて溜まった尿を排出する”導尿”を行います。




機能性尿失禁

”排泄介助”(時間ごとや対象者のパターンごとに排尿を誘導する)や”環境の整備”(トイレの表示、段差・障害物の解消、ポータブル便器、尿器の使用)が有効です。


回答者
回答者

「骨盤底骨筋体操」については、Web検索していただくと沢山の具体的な情報が見つかりますのでぜひ検索してみて下さい!




まとめ

今回は、高齢者と尿失禁の関係について一緒に考えていきました。



一括りに”尿失禁”といっても、4種類に分かれておりそれにより対応方法も様々です。



まず簡易的に自分の症状がどこに当てはまるかを大まかに確認してみて下さい。



そして、排泄介助(排尿の時間やパターンごとの誘導)や骨盤底筋体操や環境整備などすぐに実践できるものについては、取り組んでみてはいかがでしょうか。



それでも、改善が難しかったり重症化している場合にはすぐに泌尿器科を受診してみて下さい。



高齢者における尿失禁のお話は2人に1人の問題であり、他人事ではありません。



なので、同じように悩まれている方はあなたの隣にも沢山いますので中々人に相談しにくい事柄ではありますが、早めに対処して解決できることもありますので専門家に相談してみるのはいかがでしょうか。




ここまで、長々とお付き合いくださりありがとうございました。



【参考・引用文献】

● 高齢者尿失禁ガイドライン.H12年
● 尿失禁.健康長寿ネット
● 尿失禁の原因、症状と分類.排泄ケアナビ
● 高齢者の排尿の基本.排泄ケアナビ
● 高齢者障害の要因.排尿管理マニュアル