【補足】要介護認定か総合事業かを窓口で振り分けします

以前の記事「【介護保険】介護保険の申請の仕方について」では、Aさんを例にして介護保険の申請の手続きについて流れを追ってみていきました。
Aさんの場合には、ご両親が明らかに要介護認定が必要な状況であったためにそのまま申請に至りました。


しかし、必ずしも介護予防給付サービスの利用が必要な方ばかりではありません。

それ以外の方は一体どうなるのか…

今回は、そんな 介護予防給付サービスの利用対象者以外の方についてどんな判定基準があって、その判定結果によりどんなサービスを受けられるのか?について記事にして書いていきます。




【目次】

  1. 要介護認定申請が必要でない方とはどんな人?
  2. 総合事業とは?
  3. 基本チェックリストとは?
  4. 基本チェックリストの判定について
  5. 介護予防・生活支援サービス事業について
  6. まとめ




要介護認定申請が必要でない方とはどんな人?

最初に市町村窓口等で申請者の状態や利用希望サービスの聞き取りを行いますが、


65歳過ぎてはいるけれど、

「明らかにお元気な高齢者の方」「明らかなお元気なレベルではないけれど、要介護認定が必要なレベルではない高齢者の方」のことです。


役所の職員
役所の職員

それらの方々については、国が定めた基準でのサービスではなく各市区町村が独自に行っている
「総合事業」の対象者となります

 ※要支援の認定を受けた方も「総合事業」の対象となります。今回の記事ではそこの部分は割愛します。


では、次はその「総合事業」についてみていきたいと思います。




総合事業とは?

●総合事業は、2015年の介護保険改正により介護保険から切り離された要支援の介護予防給付の一部(訪問介護と通所介護)に、従来の市区町村で行われていた介護予防事業が合体して編成し直され、新しく生まれた制度です。

総合事業では、介護サービス事業者によるこれまでと同様の介護予防サービスに加え、NPOや民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体がサービスを提供していくのが大きなポイントです。

引用元: 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)とは.LIFULL介護

要支援者と65歳以上のすべての高齢者が対象になります。

引用元:ポケット介護 見てわかる介護保険&サービス.技術評論社


総合事業以前の介護予防事業にも”基本チェックリスト”はありましたが、それは要介護認定を受け、非該当となった人が受けるものでした。
総合事業になってからの”基本チェックリスト”は、要介護認定を受けずとも、総合事業の利用を希望する65歳以上の高齢者であればすぐに受けることができます。 2015年以前との違いとしては、要介護認定の申請を行わずとも介護予防サービスを利用できる点が、これまでの介護予防事業との大きな違いになります。

では、次はそんな総合事業の利用を希望するにあたり出てきました ”基本チェックリスト” についてみていきたいと思います。




基本チェックリストとは?

基本チェックリストとは、65歳以上の高齢者が自分の生活や健康状態を振り返り、心身の機能で衰えているところがないかどうかをチェックするためのものです。生活機能の低下のおそれがある高齢者を早期に把握し、介護予防・日常生活支援総合事業へつなげることにより状態悪化を防ぐためのツールです。全25項目の質問で構成されています。

引用元:基本チェックリストとは.健康長寿ネット


役所の職員
役所の職員

基本チェックリストの詳しいリストについては、各自治体からもでておりますが
Web検索で「基本チェックリスト」で調べるとすぐに情報がのってますので確認してみてください



「基本チェックリスト」によるチェックの対象者となるのは、主に以下のような方です。

●要支援1の認定を受けている認定更新対象者(要支援2の方も実施は可能)
●介護予防給付サービスの利用を必要としない方
●基本チェックリストによる事業対象者認定を希望する方
●第2号被保険者ではない方

※ 以上の項目にすべて該当する方が基本チェックリストを実施することができます。なお、要介護認定の更新と基本チェックリストの両方を行うことはできません。

※ “第2号被保険者”とは…40 歳から 64 歳までの医療保険加入者のことです
引用元: 基本チェックリストとは.健康長寿ネット

役所の職員
役所の職員

まとめますと、65歳以上の方でありかつ

①現在要支援1で認定更新をする人
②窓口の人が介護予防給付サービスが不要だと判断した場合
③本人が事業対象者認定を望む人

の場合になります




基本チェックリストの判定について

図:基本チェックリストの結果に基づく該当者について

上の図を見ていただくと、No.1~25の質問については、それぞれ「生活機能全般について」、「運動機能について」、「口腔機能や栄養状態について」、「閉じこもりと認知症について」、「精神面について」と項目内容によって評価している機能が異なります。

その結果については、7つの基準で判断されておりそのどれか1つでも該当すると、「介護予防・生活支援サービス事業の対象者」と判断されます。

該当者の認定までの時間も即日~3日程度です。




👉チェックリストの判定により非該当者となった場合には…

一般高齢者ということで

”総合事業”の中の「一般介護予防事業」には参加が可能です

<一般介護予防事業 >
 例)介護予防教室、健康体操教室など

👉チェックリストの判定により該当者となった場合には…

介護予防・生活支援サービス事業対象者ということで

”総合事業”の中の「一般介護予防事業」と更に「介護予防・生活支援サービス事業」の両方に参加が可能です

<一般介護予防事業>
 例)介護予防教室、健康体操教室など

<介護予防・生活支援サービス事業 >
 ●訪問型サービス ●通所型サービス ●生活支援サービス


チェックリストの該当者・非該当者では総合事業の中で受けられるサービスに限りがでています。

では、次は該当者となった場合に受けられる「介護予防・生活支援サービス事業」についてみていきたいと思います。




介護予防・生活支援サービス事業について

< 介護予防・生活支援サービス事業 >

● 訪問型サービス
ホームヘルパーなどが訪問して、調理や掃除などの生活援助を行います。サービスは介護保険事業者による介護保険の基準を緩和したものが主ですが、住民主体の団体やボランティアが生活上のちょっとしたことを手伝うサービスや。医療介護の専門職が短期間集中的に健康や介護予防に関する支援や相談に乗ることも含まれます。

●通所型サービス
渋滞の通所介護サービスの基準を緩和したサービスが主ですが、住民主体型サービスも少しずつ出てきています。

●その他の生活支援サービス
市区町村が独自に提供する、栄養改善や見守りを兼ねた配食サービス、住民ボランティアが行う見守りサービスなどです。

●介護予防ケアマネジメント
総合事業の利用者の状況に合った適切なサービスが提供されるために、地域包括支援センターが”介護予防ケアプラン”を作成してケアマネジメントを行います。


役所の職員
役所の職員

各地域に整備されている「地域包括支援センター」が中心となり、上記のサービスを統合し、要支援者等の状況にあった適切なサービスが、包括的かつ効率的に提供されるよう、必要なケアをマネジメントしてくれます

総合事業における「地域包括支援センター」の役割はとても大きいですね




まとめ

図:総合事業と対象者(要支援者覗く)との関係について

今までの 総合事業と対象者(要支援者覗く)との関係についてを図でまとめてみました。


今回は、そんな 介護予防給付サービスの利用対象者以外の方についてどんな判定基準があって、その判定結果によりどんなサービスを受けられるのか?について記事にして書いていきました。


2015年より総合事業が開始されました。

これは、要介護状態になる事や悪化を防止するための仕組みとして、要支援の人から要支援に至らない状態の人までを切れ目なく支援することを目的とした事業です。

65歳以上の高齢者の方々が対象となっているものもありますので、ぜひ皆様活用してください。

また、各市町村独自の基準でサービスが行われておりますので、その内容等については、各自治体に窓口や電話相談をしたり、各自治体のWebサイトから確認をしていただければと思います。


では、今回もここまで読んで下さりありがとうございました。


【参考・引用文献】

● ポケット介護 見てわかる介護保険&サービス.技術評論社
● 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)とは.LIFULL介護
● 基本チェックリストとは.健康長寿ネット