【認知症クイズ⑮】行動・心理症状(BPSD)とは?



前回までは認知症の【中核症状】について


6回シリーズでクイズ形式でお届けしました




今回は認知症の【行動・心理症状(BPSD)】について


をテーマに書いていきたいと思います


※以下、”行動・心理症状(BPSD)”については『BPSD』と略称で書かせていただきます




クイズ形式で新しいことを学び

脳の活性化と知識を

深めやすくなると思います(^-^)


「認知症」という病気がより


理解しやすくなれる一助になれれば


と思います




今回の記事の目的について

認知症の【行動・心理症状(BPSD)】についてクイズ形式で学習する












認知症の【行動・心理症状(BPSD)】の概要について




【BPSD】とは
行動心理症状は英語の頭文字をとってBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と称されることもあります。国際的な定義としては、「認知症患者にしばしば生じる、知覚認識、思考内容、気分または行動の障害による障害」とされています

日本では認知症の「中核症状」に対して、「周辺症状」と呼ばれることもあります。

引用元:なぜ、認知症のある人とうまく関われないのか?本人の声から学ぶ実践のメソッド.石原哲郎


現在は専門家間では

BPSDは「認知症の行動・心理症状」と訳されています



この『BPSD』は、認知症状を背景にして生じる不安や混乱をベースに、



周囲との関わりの中で生じます



それには、「行動症状」「心理症状」があります







以下に、それぞれについての症状を


スライドでご説明します




まず「行動症状」についてです↓





次に「心理症状」についてです↓





今回は、それぞれの主な症状について書かせていただきました





次の項目では


それらをもとに『BPSD』についての


クイズを作成しました



ぜひ挑戦してみてください(^-^)




『行動・心理症状(BPSD)』に関するクイズ:5問




次の問題は主に『BPSD』に関する問題です。設問の選択肢の中から適切なものを選んでみて下さい



≪問題≫

【問題1】

認知症のBPSDは認知症の人に共通してみられる症状である
〇か×のどちらでしょう?



【問題2】
BPSDのみをみてその対応策を考えればうまく対処ができる
〇か×のどちらでしょう?


【問題3】
例えとして、「徘徊」をしている人はみんな同じ理由で歩いているわけではない
〇か×のどちらでしょう?



【問題4】
適切なケア・環境があればBPSDは予防ができる
〇か×のどちらでしょう?



【問題5】
私たちの見ている現実世界と認知症の人が見えている世界は同じである
〇か×のどちらでしょう?





≪解答≫

【問題1】

認知症のBPSDは認知症の人に共通してみられる症状である
〇か×のどちらでしょう?

正解は「×」です

認知症の中核症状は、多くの認知症の人に見られる症状です
これに対して、BPSDは認知症の人に共通してみられる症状ではなく、出現する人と出現しない人がいます

【問題2】
BPSDのみをみてその対応策を考えればうまく対処ができる
〇か×のどちらでしょう?

正解は「×」です

BPSDが出現する背景には、「中核症状」が背景にあり「心理的要因」などが作用して出現ものと考えられています。その為、結果として現れるBPSDのみをみてその対応策を考えてもうまく対処ができない事が多いです。

【問題3】
例えとして、「徘徊」をしている人はみんな同じ理由で歩いているわけではない。〇か×のどちらでしょう?

正解は「〇」です

「徘徊」を例にした場合に、「仕事に行こうとしている人」「家に帰ろうとしている人」「子供を迎えに行こうとしている人」「居場所が無くてとりあえずここから離れようとしている人」など、歩いている原因は人それぞれになります。その為、その原因にアセスメントせずに一律の対応をしてもうまくいかないことが多いです

【問題4】
適切なケア・環境があればBPSDは予防ができる
〇か×のどちらでしょう?

正解は「〇」です

不適切な環境や不適切なケアはBPSDを誘発することがありますが、適切な環境や適切なケアはBPSDを予防することができます

【問題5】
私たちの見ている現実世界と認知症の人が見えている世界は同じである
〇か×のどちらでしょう?

正解は「×」です

認知機能障害があると、周囲の状況に対する認識や自分自身に対する認識が低下しています
その為、「なぜ?」「ここは?」「どうして?」など現実の世界についてうまく認識の把握ができていません
したがって、認知症の人は現実の世界について、違う視点から世界が見えています








『行動・心理症状(BPSD)』のまとめ




『BPSD』についてまた振り返りをしていきたいと思います


上の画像は全体像になります
(今回は主な症状しか載せていません)




そして、



以下の2枚の画像がそれぞれの


「行動症状」「心理症状」についての


内容になります↓









クイズの中で


「認知症のBPSDは認知症の人に共通してみられる症状である
〇か×のどちらでしょう?」


というものがありました


これの正解は「×」でした




このように、


認知症だから『BPSD』がでるのは仕方がない…


というわけではないのです





東京と沖縄で認知症の症状を比べると、



東京の方が、認知障害の程度に関わらず


『BPSD』の頻度が有意に高いという研究があるようです




この研究結果の理由は何なのでしょうか?







『BPSD』が出現するには


病気による要因だけではなく


心理環境要因も関わってきます




先ほどの東京と沖縄との比較の研究は


文化などの環境要因が『BPSD』の発現に


関わっているという事が言えます






また


クイズの中で


「適切なケア・環境があればBPSDは予防ができる
〇か×のどちらでしょう?」



というのがありました




これの正解は「〇」です





環境要因が『BPSD』の発現に関わっているという事で



環境面が与える影響は症状によるとは思いますが大きいと言えます


適切な環境や適切なケアは『BPSD』を予防することができますが


不適切な環境や不適切なケアは逆に『BPSD』を誘発してしまう事にもなります








『BPSD』の行動症状の中にある「徘徊」についての画像です


私たちが外から見た様子としては


無目的にうろうろと歩き回っている様子です




ですが、


ご本人の心の中では


様々な理由があって



その結果として


「徘徊」をしているのです




人によって、またその時のその人のコンディションや心境によって

行動の「理由」は様々です



なので、


症状についての原因を考えずに

一律の対応策をとってもうまくいかないことが多いのです




したがって、



行動の原因「なぜそれをしているのか?」


についてアセスメントをすることが




大切になります



おわりに



今回は認知症の【BPSD】について

クイズ形式でまとめてみました



適切な環境や適切なケアは『BPSD』を予防することができますが

不適切な環境や不適切なケアは逆に『BPSD』を誘発してしまう事にもなります






ということで、


介護者・スタッフの本人に与える影響は


大きいです




ただ、介護者自身が



ストレスを感じていたり

負担感を感じていたり

不満が蓄積していると



ココロに余裕をもてないと


なかなか難しいことだと思います




まずは


介護者のお一人お一人が


ご自分を大切にしてストレスを溜め込まない


環境を作ることが大切だと思います





せひ

ご自分を大切にしていたわって褒めてあげてください







ドングリマツリでは


介護者やスタッフの皆さまが


精神的負担を減らしたり

介護をしやすくするために


情報の発信等をさせていただいております




これからも、


少しでもお役に立てればと思います



ここまで

お付き合いくださりありがとうございました(^-^)


【参考・引用文献】

●認知症ケア標準テキスト改訂3版認知症ケアの基礎.一般社団日本認知症ケア学会編.(株)ワールド王ランニング
●なぜ、認知症のある人とうまく関われないのか?本人の声から学ぶ実践のメソッド.石原哲郎.中央法規
●認知症の人の心の中はどうなっているのか?佐藤眞一.光文社
●認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント第2版.山口晴保
●楽になる認知症のケアのコツ.山口晴保・田中志子