【認知症クイズ⑬】知覚-運動とは?
前回は認知症の【中核症状】の中の『言語』について
クイズ形式で紹介しました
今回は5つ目の『知覚-運動』について
クイズ形式で考えながら学んでいければ
と思います
クイズ形式で新しいことを学び
脳の活性化と知識を
深めやすくなると思います(^-^)
「認知症」という病気がより
理解しやすくなれる一助になれれば
と思います
今回の記事の目的について
認知症の【中核症状】の中の『知覚-運動』についてクイズ形式で学習する
『知覚-運動』に関するクイズ:5問
もしその機能が
うまく働かない場合には
どんな状態になるのでしょうか?
うまく行動が起こせなくなる
→『失行』
見たり聞いたりしたことの意味がわらない
→『失認』
といった状態になります
下の画像は
『失行』と『失認』に関する
それぞれの詳しい症状についてです
次の問題は主に『知覚-運動の障害』の症状に関する問題です
設問の選択肢の中から適切なものを選んでみて下さい
≪問題≫
【問題1】
「見たり聞いたりする知覚に異常はないにもかかわらず、見たり聞いたりしたことの意味が分からなくなる」
この症状は認知症の中核症状のうちどの症状でしょうか?
①失語
②失行
③失認
【問題2】
「筋力低下やふるえ等の運動症状はないにもかかわらず、目的に合った行動ができない」
この症状は認知症の中核症状のうちどの症状でしょうか?
①失語
②失行
③失認
【問題3】
「視力が障害されていないにもかかわらず、道に迷うようになったり車の駐車をするのがうまくできない」
この症状は「失認」のうちどの症状でしょうか?
①物体失認
②視空間失認
③相貌失認
【問題4】
「手の機能が障害されていないにもかかわらず、服を着るのに時間がかかったり服の上下や裏表が逆になったりしてうまくできない」
この症状は「失行」のうちどの症状でしょうか?
①着衣失行
②観念運動失行
③観念失行
【問題5】
「手の機能が障害されていないにもかかわらず、それまで使い慣れた道具や家電製品を操作するのがうまくできない」
この症状は「失行」のうちどの症状でしょうか?
①着衣失行
②観念運動失行
③観念失行
≪解答≫
-
【問題1】
「見たり聞いたりする知覚に異常はないにもかかわらず、見たり聞いたりしたことの意味が分からなくなる」
この症状は認知症の中核症状のうちどの症状でしょうか? -
③失認
これは、失認です。見たり聞いたりなどの感覚自体問題がないにもかかわらず、対象物を認知できないことを言います。
①失語は使い慣れていた言葉が出てこなくなったり、会話の理解が難しくなる症状です。
②失行は運動機能に問題はないにもかかわらず、正しい動作を行えない症状です。
-
【問題2】
「筋力低下やふるえ等の運動症状はないにもかかわらず、目的に合った行動ができない」
この症状は認知症の中核症状のうちどの症状でしょうか? -
②失行
これは、失行です。運動機能に問題はないにもかかわらず、正しい動作を行えない症状のことを言います。
①失語は使い慣れていた言葉が出てこなくなったり、会話の理解が難しくなる症状です。
③失認は見たり聞いたりなどの感覚自体問題がないにもかかわらず、対象物の認知が難しくなる症状です。
-
【問題3】
「視力が障害されていないにもかかわらず、道に迷うようになったり車の駐車をするのがうまくできない」
この症状は「失認」のうちどの症状でしょうか? -
②視空間失認
視空間失認では、自分とものとの位置関係や、ものとものとの位置関係が分からなくなります。その為設問のような状態が起こります。
①物体失認は、見えてはいるけれど見ただけではそのものが何なのか分からない症状です。
③相貌失認は、見えてはいるけれど顔を見ただけではその人が誰であるかが分からなくなる症状です。
-
【問題4】
「手の機能が障害されていないにもかかわらず、服を着るのに時間がかかったり服の上下や裏表が逆になったりしてうまくできない」
この症状は「失行」のうちどの症状でしょうか? -
①着衣失行
設問の通りです。
②観念運動失行は、自発的にある行動はできますが、「〇〇をしてください」と指示されたり、真似をするように言われるとできなくなる症状です。
③観念失行は、手の機能が障害されていないにもかかわらず、それまで使い慣れた道具や家電製品を操作するのがうまくできない症状です。
-
【問題5】
「手の機能が障害されていないにもかかわらず、それまで使い慣れた道具や家電製品を操作するのがうまくできない」
この症状は「失行」のうちどの症状でしょうか? -
③観念失行
設問の通りです。
①着衣失行と②観念運動失行については、【問題4】の解説を参照ください。
『知覚-運動』とは
外界から入ってくる情報は
どのように脳へ入り
そして
それによりどのように実際に行動が起こされるのかを
下の画像で見ていきます
大脳皮質は前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉と4分割されます。それぞれに、身体各部と直接やり取りする一次領野と、一次領野を埋める連合野があります。
引用元:認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント
身体の運動指令を出す運動野や、視覚情報が入力される視覚野などが一次領野です。
連合野は場所ごとに機能を分担しているので、障害を受けると、その部位に対応した症状として種々の失行や失認、失語などの高次脳機能障害(認知障害)を示します。
点線の矢印がそれぞれの経路を通って
最終的には
『頭頂連合野』 という場所に集まります
それをもとに、行動が実行されます
もし、赤丸で囲ってある
●頭頂連合野
●側頭連合野
がうまく機能しなくなると
『失行』により
うまく行動がおこせない状態になったり
『失認』により
見たり聞いたりしたことの意味がわからない状態になります
認知症になると
それらの脳の部位の機能が低下すると
その様な症状が起こります
認知症の人が『知覚―運動』の障害でどのような困難を
抱えるかについていくつか例を挙げておきます
●車の運転が苦手になったり、車の駐車がうまくできなくなる
●慣れた道具の使い方が難しくなる
●方向確認に地図や人のサポートが必要になる
などのような様子が見られるようになります
おわりに
今回は認知症の【中核症状】の1つ『知覚-運動』について
クイズ形式でまとめてみました
次回は他の【中核症状】について
クイズ形式でまとめていきたいと思いますので
宜しければお付き合いください
今回も「認知症クイズ」に
お付き合いくださりありがとうございました(^-^)
【参考・引用文献】
●認知症ケア標準テキスト改訂第3版認知症ケアの基礎.一般社団日本認知症ケア学会編
●なぜ認知症のある人とうまくかかわれないのか?.石原哲郎著.中央法規
●認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント.山口晴保編.協同医書出版
●病気がみえるVOL.7脳・神経.MEDICMEDIA