サルコペニアと身体機能について
コロナウイルス感染予防のために外出して
人と会ったり活動する機会がとても減ってます。
そうすると、どうしても活動量が低下したり刺激が
減ってしまい体力や認知機能が低下しがちになります。
外出は「散歩やジョギング」は認められていますが
それでも以前に比べて日中に活動する量は
少なくなっています。
そうなると、
体力の低下が心配になるかと思います。
では、、、
体力が低下しているというのはいったい
どの位のレベルをさすんじゃろう
と、疑問に思われる人もいると思います
なので、
今回は身体機能の低下のあるなしを判断するヒントとなる
「サルコペニア」
をご紹介します
【サルコペニアの定義】
引用元:Age Agein 39:412-423.2010
進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群であり、身体的な障害や生活の質の低下、および死などの有害な転帰のリスクを伴うもの
つまり「65歳以上の高齢者にみられる筋肉量の減少と
筋力もしくは身体機能の低下」のことを言います
次からは具体的に「サルコペニアの診断基準」についてみていきたいと思います
【目次】
サルコペニアの診断について
<サルコペニアの診断基準>
1.筋肉量の低下
2.筋力の低下
3.身体能力の低下
以上の1~3で判定します
次からは各項目の検査についてお話ししていきます
歩行速度について
順番が前後してしまいますが、
「身体能力の低下」については
”歩行速度”
で判定します
数値については図のように
1秒間に0.8m以上の距離を
歩くことができるどうかです
●歩くことができた場合には → ”握力の測定”に続きます
●歩くことができない場合には → ”筋肉量の測定”に続きます
握力について
前の検査で歩行速度が1秒間に0.8m以上の距離が歩けた場合に
「筋力の低下」を検査するのは
”握力測定”
を行います
国によって判断基準の数値は少し変わりますが
アジア圏の場合には図のように
男性では握力が26kg以上かどうか
女性では握力が18kg以上かどうか
になります
結果が、基準を満たしていた場合には「正常」です
もし、基準に満たない場合には「低下」とし次の”筋肉量の測定”に続きます
筋肉量の測定について
筋肉量の測定には
「DXA:二重エネルギーX線吸収測定法」
と
「BIA:生体電気インピーダンス法」
の2種類があります
”DXA”も”BIA”もどちらも、医療機関などにおいてあるような大きなものや高額な機器で測定するようです
なので、なかなか検査ができません
なので、簡単にすぐできる方法をご紹介します
それは
ふくらはぎ周囲の長さを測る”指輪っかテスト”
です
ところで
なぜふくらはぎの太さ=筋肉量の測定
になるのでしょうか?↓
●サルコペニアの判定には腕と脚の骨格筋量を身長の2乗で除した四肢筋量指数を用います
引用元:ふくらはぎの太さでサルコペニア(筋減弱症)を簡易評価する.健康・栄養ニュース第49号.2014.9
●ヒトの四肢の中で最も皮下脂肪が少ない部位が”ふくらはぎ”です
●下腿最大周囲長と四肢筋量指数との間に有意な正の相関関係が認められました
つまり「ふくらはぎが一番皮下脂肪が少ない部位であり、
腕や足の筋肉の量ととても関係性が高い」からなんですね
では次は具体的な方法の説明ですが
サルコペニアは、「指輪っかテスト」という簡単な検査法により自分でチェックすることができます。
ふくらはぎの一番太い部分が、両手の親指と人差し指で作った輪よりも小さく隙間ができれば、サルコペニアである可能性が高いと考えられます。このテストでは、体格にある程度比例する手の大きさを用いることでふくらはぎの筋肉量が体格に比べて維持されているかを自己評価できます。
引用元:サルコペニアは自分でチェックできる?.エーザイのサポートサイト
●つかめない・ちょうど囲める → 「正常」の可能性が高い
●隙間ができる → 「低下」 → 「サルコペニア」の可能性が高い
具体的な数値としては「下腿最大周囲長が男性で34㎝、女性で33㎝未満」
でサルコペニアと評価される可能性が高いという話もあります
日本人の握力の平均値
最後におまけで「握力の平均値」を紹介します
握力測定時の参考になればと思います
また、
”ペットボトルのキャップを開けるため”には12kgの握力が必要と言われています
これも一つの指標になるかと思います
おわりに
今回は「サルコペニア」について診断基準と具体的な検査内容も含めて
記事にまとめてみました
高齢者は全身の多くの筋に筋肉量の減少や筋力低下を認めますが、起居移動動作や転倒に関係する筋(下半身の筋肉)は筋力低下が顕著であることから、これらの筋をターゲットとしたトレーニングが必要となります
引用元:SAKAImed.お役立ち情報.高齢者の身体機能低下とそのリハビリテーション(1)サルコペニア
体力低下を予防するためには
●歩く速度をたもつこと
●握力をたもつこと
●筋肉量をたもつこと → 下半身の筋肉量をたもつこと
が大切になるかと思います
今回の内容をご自身だけでなくご家族や高齢者の方々にあてはめて
まず確認していただきそして不足している場合には上の3つを改善するように
歩いたり運動したり栄養を取ったりして
体力維持をできるようにできたら幸いです。
ここまで長々と読んで下さりありがとうございました
【参考・引用文献】
●運動療法エビデンスレビュー.松永篤彦・神谷健太郎編集.文光堂.2018
●”臨床思考”が身につく運動療法Q&A.高橋哲也編集.医学書院.2016
●リハビリテーション効果を最大限に引き出すコツ.山崎裕司・山本淳一.三輪書店.2008
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