新しい生活様式の中での「熱中症」について

暑くなる季節では例年「熱中症」により


体調不良になられ、ひどい時には亡くなられてしまう方


もいらっしゃいます


特に、子供や高齢者はそのリスクが非常に高く


注意が必要です



今年はコロナ感染予防対策のため”マスク”着用する場面が多いです


その為、例年以上に「熱中症」のリスクが高く


注意が必要になります






今回はそんな「熱中症」について



●熱中症とは何なのか?


●熱中症になりやすい場所とは?


●なぜ高齢者がかかる人が多いのか?


●どうすれば高齢者本人が熱中症対策をしてくれるのか?


●また、その為の働きかけについてどうしたら良いのか?


●熱中症の具体的な対策について


などをこのブログの中で書いていきたいと思います





そして、今年は”マスク着用”という過酷な状況の中でも


みんなで安全に夏を乗り越えられればと思いますm(__)m




【目次】



熱中症とはなに?


「熱中症」ということばはよく聞くけど

具体的にはどんなものなのでしょうか?


熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと。

引用元:みんなの医療ガイド.熱中症について 


疑問点↓ 

体温が上がる状況は普段もあると思うのに

なぜ体に熱がたまってしまうのか?




これについて


まず「平常時」「異常時」に分けて

そのメカニズムについて

みていきたいと思います↓


図:体温上昇時の体温調節反応のメカニズム

普段は

体を動かしたり、環境が高温になった時には


体の中の「体温調節反応」が働き



皮膚から外に向けて熱を発散したりや汗をかいて


「熱放散」というかたちで熱を体の外に出しています


そのおかげで、体の中の温度が一定に保たれています




これが下記の図のような条件下になると


体から外気への「熱放散」が減少し


体の中に熱がたまってしまい


その結果、熱が下がらずに「熱中症」になってしまいます


図:熱中症を引き起こす条件



これら「環境」「からだ」「行動」の条件がそろうことで

体のバランスが破たんしてしまい

その結果、「熱中症」になってしまいます

図:熱中症のメカニズム


まとめますと


熱中症とは

普段なら「体温調節反応」が働いて「熱放散」により

体の体温が一定に保たれているはずですが




「環境」「からだ」「行動」の条件が重なることで

体の中の「体温調節反応」がうまく働かずに

その結果、体内に熱がたまっている状態になることです






熱中症の症状とは?


では、”体内に熱がたまっている状態”になると


どんな症状がでるのでしょうか?




重症度によって


「3つの段階」に分けられます


≪Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症≫



≪Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症≫


≪Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症≫



Ⅰ度の場合には現場での応急処置での対応で対処が可能ですが

Ⅱ度以上では病院への搬送・医療的処置が必要になります





また

Ⅲ度の場合には、体内が高体温(深部体温が40度以上)により

全身の臓器が不可逆的な障害をうけることになります




その結果、


めまい・うまく歩けないなどの小脳の異常、

手が震えたり筋肉がこわばって動かなくなるパーキンソン症状が

出ることがあります。

また、記憶量の低下や腎機能障害が出る場合もあるようです。



なので、「熱中症」の場合には

症状が重症化する前に早めに発見し対応することが大切になります






なりやすい人はどんな人?


特に、小児や高齢者、持病のある方は熱中症にかかり易い

小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱い
高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になり易い。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる
小児では身長が低いため、地面からの輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすい
・自分で予防する能力が乏しい

ため、『熱中症弱者』としての認識が重要です。

引用元:熱中症予防に関する緊急提言.日本救急医学会・熱中症に関する委員会・H30年7月



図にすると以下になります↓

図:熱中症になりやすい人


子供や高齢者はもともと熱中症になりやすい要素を持っていますが、





高齢者の場合にはさらに


・病気をもっていたり

・体調に波があったり

・普段あまり運動をしなかったり

・一人で生活していて家族の目が届きにくかったり

・経済的にあまりお金を使えなかったり


している方も多く



「熱中症」になる可能性が非常に高いといえます






なりやすい時期・場所は?


≪熱中症になりやすい時期は≫

図:熱中走の重症度別の発生時期.
Heatstroke STUDY2012から日本救急医学会「熱中症に関する委員会」


発生時期は


本格的な夏の時期の「8月」よりも

急に熱くなった「7月」の時期に多いようです




また、気温だけでなく湿度も大切で

「高温多湿」の日に多いようです




これからの時期に特に気をつける必要がありますね




≪熱中症と作業内容・強度による人数について≫

引用元:Heatstroke STUDY2012から日本救急医学会「熱中症に関する委員会」


高齢者は「家庭内」で成年は「職場」で

若者は「運動時」に乳幼児は「車内」で多いようです


そして


全体の半数以上は「日常生活の中で発生」しています


救急要請時の発生場所では

住宅等居住施設が最も多いです




家の中の発生場所としては


「リビング」・「トイレ」・「寝室」

に多いようです



なので

暑い日も「家の中にいれば安全だ」

というのは間違いで


そういう日こそ”熱中症予防対策”をする必要があります





熱中症対策について

≪熱中症を予防「4つ」のこと≫


図:熱中症予防「4つ」のこと


≪その1:暑さを避ける≫

屋外の場合

図:「暑さを避ける」屋外編


室内の場合

図:「暑さを避ける」室内編



≪その2:服装を工夫する≫

図:「服装を工夫する」


≪その3:こまめな水分補給≫

図:「こまめな水分補給」


≪その4:暑さに備えた体づくり≫

図:「暑さに備えた体づくり」



「熱中症」はまず第一に予防することがとても大切です!


上にある「4つの予防方法」をぜひ心がけてみてください!





新しい生活様式における感染予防下での熱中症対策≫

(1) マスクの着用について
 マスクは飛沫の拡散予防に有効で、「新しい生活様式」でも一人ひとりの方の基本的な感染対策として着用をお願いしています。ただし、マスクを着用していない場合と比べると、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがあります
したがって、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクをはずすようにしましょう
マスクを着用する場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけましょう。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、マスクを一時的にはずして休憩することも必要です
 外出時は暑い日や時間帯を避け、涼しい服装を心がけましょう。

(2) エアコンの使用について
 熱中症予防のためにはエアコンの活用が有効です。ただし、一般的な家庭用エアコンは、空気を循環させるだけで換気を行っていません。新型コロナウイルス対策のためには、冷房時でも窓開放や換気扇によって換気を行う必要があります。換気により室内温度が高くなりがちなので、エアコンの温度設定を下げるなどの調整をしましょう。

(3) 涼しい場所への移動について
 少しでも体調に異変を感じたら、速やかに涼しい場所に移動することが、熱中症予防に有効です。一方で、人数制限等により屋内の店舗等にすぐに入ることができない場合もあると思います。その際は、屋外でも日陰や風通しの良い場所に移動してください。

(4) 日頃の健康管理について
 「新しい生活様式」では、毎朝など、定時の体温測定、健康チェックをお願いしています。これらは、熱中症予防にも有効です。平熱を知っておくことで、発熱に早く気づくこともできます。日ごろからご自身の身体を知り、健康管理を充実させてください。また、体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。

引用元:厚労省.「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました より


今年は感染対策によるマスクの着用や換気、

屋内の店舗棟に自由に入れないなど

例年とは異なった対応が求められています



この上記の厚労省からの提案を参考に無理のない対応を心がけてください





熱中症の応急処置・対応について


次は、もし「熱中症」になった場合の対応について

確認していきたいと思います↓

引用元:環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」.P24


≪熱中症の重症度別による対応法について≫


次は「重症度」におけるそれぞれの対応について

見ていきたいと思います↓

熱中症Ⅰ度:軽症


熱中症Ⅱ度以上:中等度・重度






参考資料について


≪熱中症予防に関する資料≫

●環境省サイト:「環境省熱中症予防情報サイト」→ https://www.wbgt.env.go.jp/

 ※熱中症のかかりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」を公表しています
  熱中症について学べる動画があります(早見優のLet’s Studyシリーズ)


●厚労省サイト:「熱中症関連情報」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html




≪熱中症に関する冊子≫






おわりに


ここまで「熱中症」の基本から予防対策・対応方法

などについてみてきました




今年は感染予防下でのマスク着用があり更なるリスクがあります


厚労省の「新しい生活様式における熱中症対策」を確認しながら

マスク着用等についても臨機応変に対応してください




最後に

●どうすれば高齢者本人が熱中症対策をしてくれるのか?

●また、その為の働きかけについてどうしたら良いのか?


という疑問についてですが


高齢者自身は暑さやのどの渇きについての自覚が乏しいです

また熱中症・脱水になりやすい性質があります




同居されている場合には


一番は周りにいるご家族が気をつけてあげて

適宜、環境調整や水分補給の促しをしてあげて

サポートをしてあげてください



また


1人暮らしの方の場合には


中々周囲の目が届きにくいですよね



その場合には


●環境省や厚労省が作成している冊子・ポスターをお渡しして読んでもらう

●室内にこのような目で見て状況の分かる温湿度計を置いてもらい確認してもらう

画像:熱中症・インフルエンザ警告温湿度計


それらの客観的情報を通して

自覚を促してもらうことを1つの手段としていかがでしょうか?






今年の夏を皆さんが


予防・対策を行い「コロナウイルス」・「熱中症」ともに

発症せずに、乗り切れますように(・∀・)



ここまで長々と読んで下さりありがとうございましたm(__)m


【参考・引用文献】

●熱中症予防情報サイト.環境省
●熱中症関連情報.厚労省
●「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました.厚労省
●熱中症について.みんなの医療ガイド
●熱中症の発生機序および予防・対処法.2014年熱中症講習会資料編集委員会