【熱中症基礎知識】症状や対策について


暑くなる季節では例年「熱中症」により
体調不良になられ、ひどい時には亡くなられてしまう方
もいます


特に、子供や高齢者はそのリスクが非常に高く注意が必要です


毎年、日本の夏の最高気温が上昇している気がします
また、以前は涼しかった朝・夕方も暑くて冷房が必要な環境になっています






今回はそんな「熱中症」について


●熱中症とは何なのか?
●熱中症になりやすい場所とは?
●なぜ高齢者がかかる人が多いのか?
●どうすれば高齢者本人が熱中症対策をしてくれるのか?
●また、その為の働きかけについてどうしたら良いのか?
●熱中症の具体的な対策について



についての記事を書いていきたいと思います




この記事を通して、今年の夏も安全に過ごしていければと思いますm(__)m




熱中症とはなに?


「熱中症」ということばはよく聞くけど
具体的にはどんなものなのでしょうか?


熱中症とは、体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと。

引用元:みんなの医療ガイド.熱中症について 


疑問点↓ 

体温が上がる状況は普段もあると思うのに

なぜ体に熱がたまってしまうのか?



これについて


まず「平常時」「異常時」に分けて
そのメカニズムについてみていきたいと思います↓


図:体温上昇時の体温調節反応のメカニズム


普段は
体を動かしたり、環境が高温になった時には


体の中の「体温調節反応」が働き
皮膚から外に向けて熱を発散したりや汗をかいて
「熱放散」というかたちで熱を体の外に出しています


そのおかげで、体の中の温度が一定に保たれています



これが下記の図のような条件下になると
体から外気への「熱放散」が減少し、体の中に熱がたまってしまい


その結果、熱が下がらずに「熱中症」になってしまいます


図:熱中症を引き起こす条件



これら「環境」「からだ」「行動」の条件がそろうことで

体のバランスが破たんしてしまい
その結果、「熱中症」になってしまいます

図:熱中症のメカニズム


まとめますと、

熱中症とは
普段なら「体温調節反応」が働いて「熱放散」により
体の体温が一定に保たれているはずですが


「環境」「からだ」「行動」の条件が重なることで体の中の「体温調節反応」がうまく働かずにその結果、体内に熱がたまっている状態になることです







熱中症の症状とは?


では、”体内に熱がたまっている状態”になると
どんな症状がでるのでしょうか?


重症度によって
「3つの段階」に分けられます


≪Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症≫



≪Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症≫


≪Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症≫



Ⅰ度の場合には現場での応急処置での対応で対処が可能ですが,

Ⅱ度以上では病院への搬送・医療的処置が必要になります





また
Ⅲ度の場合には、体内が高体温(深部体温が40度以上)により
全身の臓器が不可逆的な障害をうけることになります




その結果、

めまい・うまく歩けないなどの小脳の異常、
手が震えたり筋肉がこわばって動かなくなるパーキンソン症状が出ることがあります。

また、記憶量の低下や腎機能障害が出る場合もあるようです。


なので、「熱中症」の場合には
症状が重症化する前に早めに発見し対応することが大切になります






熱中症になりやすい人はどんな人?


特に、小児や高齢者、持病のある方は熱中症にかかり易い

小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱い
高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になり易い。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる
小児では身長が低いため、地面からの輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすい
・自分で予防する能力が乏しい

ため、『熱中症弱者』としての認識が重要です。

引用元:熱中症予防に関する緊急提言.日本救急医学会・熱中症に関する委員会・H30年7月



図にすると以下になります↓

図:熱中症になりやすい人


子供や高齢者はもともと熱中症になりやすい要素を持っていますが、





高齢者の場合にはさらに

・病気をもっていたり
・体調に波があったり
・普段あまり運動をしなかったり
・一人で生活していて家族の目が届きにくかったり
・経済的にあまりお金を使えなかったり


している方も多く
「熱中症」になる可能性が非常に高いといえます






熱中症になりやすい時期・場所は?

図:熱中走の重症度別の発生時期.
Heatstroke STUDY2012から日本救急医学会「熱中症に関する委員会」

≪熱中症になりやすい時期は≫


発生時期は
本格的な夏の時期の「8月」よりも
急に熱くなった「7月」の時期に多いようです


また、気温だけでなく湿度も大切で
「高温多湿」の日に多いようです



これからの時期に特に気をつける必要がありますね




≪熱中症と作業内容・強度による人数について≫

引用元:Heatstroke STUDY2012から日本救急医学会「熱中症に関する委員会」


高齢者は「家庭内」で成年は「職場」で
若者は「運動時」に乳幼児は「車内」で多いようです

そして
全体の半数以上は「日常生活の中で発生」しています


救急要請時の発生場所では
住宅等居住施設が最も多いです




家の中の発生場所としては
「リビング」・「トイレ」・「寝室」に多いようです



なので

暑い日も「家の中にいれば安全だ」というのは間違いで
そういう日こそ”熱中症予防対策”をする必要があります




熱中症対策について

≪熱中症を予防「4つ」のこと≫

図:熱中症予防「4つ」のこと


≪その1:暑さを避ける≫

屋外の場合

図:「暑さを避ける」屋外編


室内の場合

図:「暑さを避ける」室内編



≪その2:服装を工夫する≫

図:「服装を工夫する」


≪その3:こまめな水分補給≫

図:「こまめな水分補給」


≪その4:暑さに備えた体づくり≫

図:「暑さに備えた体づくり」



「熱中症」はまず第一に予防することがとても大切です!
上にある「4つの予防方法」をぜひ心がけてみてください!





熱中症の応急処置・対応について

次は、もし「熱中症」になった場合の対応について
確認していきたいと思います↓

引用元:環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」.P24


≪熱中症の重症度別による対応法について≫


次は「重症度」におけるそれぞれの対応について
見ていきたいと思います↓

熱中症Ⅰ度:軽症


熱中症Ⅱ度以上:中等度・重度






参考資料について


≪熱中症予防に関する資料≫

●環境省サイト:「環境省熱中症予防情報サイト」

 環境省は、熱中症による健康被害を防ぐため、熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラートを発表し、国民への注意喚起や予防行動の促進を目的としています。また、熱中症予防に関する情報提供や、関係機関との連携による対策推進も行っています。


厚労省サイト:「熱中症関連情報」

 厚労省では、施策紹介、熱中症予防リーフレット、熱中症診療ガイドラインなどをサイトの中で情報提供しています。




≪熱中症に関する冊子≫

引用元:環境省・厚労省

★熱中症の予防についてのリーフレット

★高齢者のための熱中症対策リーフレット

★障害のある方へ…熱中症対策リーフレット

★職場の熱中症対策:みんなで防ごう!熱中症







おわりに


ここまで「熱中症」の基本から予防対策・対応方法
などについてみてきました





最後に
●どうすれば高齢者本人が熱中症対策をしてくれるのか?
●また、その為の働きかけについてどうしたら良いのか?


という疑問についてですが

高齢者自身は暑さやのどの渇きについての自覚が乏しいです
また熱中症・脱水になりやすい性質があります


同居されている場合には
一番は周りにいるご家族が気をつけてあげて適宜、環境調整や水分補給の促しをしてあげてサポートをしてあげてください


また
1人暮らしの方の場合には
中々周囲の目が届きにくいですよね



その場合には
●環境省や厚労省が作成している冊子・ポスターをお渡しして読んでもらう
●室内にこのような目で見て状況の分かる温湿度計を置いてもらい確認してもらう

画像:熱中症・インフルエンザ警告温湿度計


それらの客観的情報を通して
自覚を促してもらうことを1つの手段としていかがでしょうか?






今年の夏を皆さんが


予防・対策を行い「熱中症」を予防して快適に過ごせますように
(・∀・)


ここまで長々と読んで下さりありがとうございましたm(__)m



おまけ

熱中症に関する3択クイズを作成しました
こちらは下記の記事から見れます。ぜひ復習として挑戦してみてください!


【参考・引用文献】

●熱中症予防情報サイト.環境省
●熱中症関連情報.厚労省
●「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました.厚労省
●熱中症について.みんなの医療ガイド
●熱中症の発生機序および予防・対処法.2014年熱中症講習会資料編集委員会